中小企業のAI導入は何から始めるか 生成AIで最初の1業務を選ぶ5つの基準

その他

この記事の結論

中小企業のAI導入は、全社に一度に配るより、最初の1業務を決めて、前と後の時間を測るところから始めると進みます。

  • 選ぶのは、回数が多く、手順がはっきりしていて、間違えても人が確かめて直せる仕事
  • 使い始める前に、会社のアカウントで使うことと、AIに入れてよい情報の決まりを決める
  • 小さく試し、時間を測り、手順書にしてから広げる

AIを入れたいが、どの仕事から手を付ければ?

最初の1業務は5つの基準で比べて選ぶ

AIの道具は、契約しただけでは仕事を変えません。止まりやすいのは、「うちのどの仕事に使うか」が決まらないところです。

思いつきで選ぶと、効果が分からないまま使われなくなります。候補の仕事を3つから5つ書き出し、次の5つの基準で比べてください。

1回数×1回の時間

月に何回あり、1回に何分かかるかを確かめ、掛け算で月の合計を出します。

仮の例で掛け算すると
報告書のまとめ週5回 × 40分 × 4週800分(約13時間)
資料づくり月1回 × 3時間180分(3時間)

向く毎日か毎週あり、合計の時間が大きい

2手順がはっきりしているか

担当者が手順を口で説明できるか。出来上がりの見本があるか。

向く材料と出来上がりの形が決まっている

3間違えた時の影響の大きさ

AIの出力の誤りが、確かめずに社外へ出たら何が起きるか。

向く人が確かめてから使うので、誤りが社内で止まる

4元のデータがそろっているか

材料が1か所にあり、形がそろっているか。

向くExcel、メール、メモなど、材料の置き場が決まっている

5効果を測れるか

いまのやり方の時間を測れるか。手直しの回数を数えられるか。

向く前と後を同じ方法で測れる

2つめの基準で手順を説明できない仕事は、AIの前に、いまの手順を書き出すところから始めます。手順が人によって違う仕事にAIを当てても、出力が良いのか悪いのかを判断する物差しがありません。

最初に向くのは下書きと転記、向かないのは判断の責任が重い仕事

5つの基準に当てはめると、最初の1業務に向くのは、AIが下書きをつくり、人が確かめて仕上げる形の仕事です。

AIの出力はそのまま社外に出さず、誤りが出る前提で人が確かめる
材料メモ・注文書・過去の文面
→

下書きしました

AIが下書き
→

数字と約束を確かめます

人が確かめる
→
社外へ取引先・お客様

次の4つは、社員30人ほどの会社を仮に想定した例です。

会議の議事録・報告書

AIメモや文字起こしから、決まった形の下書きをつくる

人決定事項と担当、期限が合っているか

見積や提案の文面

AI過去の文面を見本に、説明文の下書きをつくる

人数量・条件・金額は人が入れて確かめる

データの転記

AI注文書や請求書の項目を読み取り、表に移す下書きをつくる

人読み取りの誤り。照合する項目を先に決めておく

問い合わせへの返信

AIよくある質問への返信文の下書きをつくる

人送る前に、事実と約束の内容を担当者が確かめる

最初には向かない仕事

最初の1業務では扱わない3つ

判断の責任が重い仕事採用の合否、人事評価、取引の可否、契約条件の判断など。

元のデータが散らばっている仕事材料が個人のパソコン、紙、メール、チャットに分かれていて、AIに渡す前の準備で時間が尽きます。手書きやバラバラの表をそろえる作業を先に済ませ、2つめ以降の業務に回します。

年に数回しかない仕事決算の資料づくりのように、試して直す機会が少なく、効果も測りにくくなります。

採用や人事評価について、総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」は、AIの出力を個人の評価の参考にする場合、本人に知らせることと、人による合理的な判断のもとで説明の責任を果たすことを挙げています。

使い始める前に、会社のアカウントと入れてよい情報の決まりをつくる

社員がそれぞれ個人のアカウントでAIを使い始めると、会社は、だれがどの情報をどこに入れたかを把握できません。入力した内容の扱いは、使うAIと契約の種類、設定によって変わります。

個人情報保護委員会は、生成AIサービスに入力した個人情報が機械学習に利用されることがあると注意を促しています。事業者には、利用目的の範囲内か、入力した個人データが機械学習に使われないかを十分に確認するよう求めています。

Microsoft 365 を使っている会社は、Copilot Chat を会社のアカウントで

Microsoft 365 を使っている会社なら、最初の道具の候補に Copilot Chat があります。2026年10月時点の名前は Microsoft Copilot Chat で、以前の名前は Microsoft 365 Copilot Chat です。

Microsoft の説明では、対象の Microsoft 365 のライセンスがあれば、Copilot の追加のライセンスがなくても使えます。会社のアカウント(職場のアカウント)で使うと、エンタープライズ データ保護が適用されます。

入力した内容と応答は、AIの基礎となるモデルの学習には使われません。保護が効いている時は、画面に緑色の盾の印が出ます。Copilot の種類の違いは、解説動画の第14回で説明しています。

ただし、保護があっても決まりは要ります。Copilot Chat が Web 検索に使う語句は、ユーザーやテナントの識別子を外したうえで Bing に送られ、Microsoft 365 とは別の取り扱い(Microsoft サービス規約など)になります。

最初に決める4つのこと

1使ってよいAIの道具と、使うアカウント(会社のアカウントだけにする)

2入れてよい情報の区分

3AIの出力を社外に出す前に、だれが何を確かめるか

4迷った時に聞く相手

2つめの区分は、たとえば次のように分けます。業種や取引先との契約によって変わるので、決め方の例として見てください。

入れてよい情報の区分(決め方の例)

下へ行くほど、入れる前の確かめが重くなります

公開済みの情報自社サイトの文面、配布済みのチラシ扱い会社のアカウントのAIに入れてよい
社内の文書手順書、議事録、社内のお知らせ扱い会社のアカウントで、決めた道具にだけ入れる
個人情報お客様や社員の氏名、連絡先扱い利用目的の範囲か確かめる。名前を伏せて入れられないかを先に考える
お客様から預かった機密図面、契約書、取引条件扱い秘密保持の契約を確かめ、入れる前に責任者が判断する

先のAI事業者ガイドラインも、AIを使う側の注意として、個人情報や機密情報を不適切に入力しないことを挙げています。

小さく試し、時間を測り、手順書にしてから広げる

最初の1業務と決まりができたら、次の4つの順で進めます。

  1. 小さく試す担当者1名から3名で、その1業務だけに使います。いきなり全社に配ると、使い方が人ごとにばらつき、うまくいったかどうかも分かりません。
  2. 時間を測る試す前に、いまのやり方で何分かかるかを数回分記録します。AIを使ったあとも同じ方法で測り、出力を確かめて直す時間も含めます。下書きが速くても、手直しが長ければ合計は減りません。
  3. 手順書にするAIへの指示文、材料の置き場、確かめる項目、社外に出してよい条件を1枚にまとめます。担当者の頭の中だけにあるやり方は、その人が休むと止まります。
  4. ほかの人と業務に広げる手順書を使って、2人目、3人目が同じ時間で同じ品質の結果を出せたら、次の業務に移ります。2つめの業務も、5つの基準で比べて選びます。

社内に使いこなす人を育てる意味

手順書を書けて、次の業務を選べる人が社内にいると、AIの使い方が会社に残ります。外の業者に任せきりにすると、直すたびに頼む必要があり、中身も社内から見えません。

詳しい社員が1人だけの会社も、その人が辞めたら止まります。最初の1業務は、成果を出す場であると同時に、使いこなす人を育てる練習の場です。

インフィニティにできること

インフィニティは、社内でAIを徹底的に使う方針をとっています。ChatGPT や Claude に加え、Claude Code や Codex といったAIにプログラムを書かせる道具で、外部の開発会社に頼んでいた仕事を自分たちの手で形にしています。

社内ポータルやお客様の業務システムも、AIを使ってつくりました。自分たちで試して効果があったやり方を、お客様の業務改善として提案します。

AI活用伴走サービスでは、貴社のご担当者と一緒に、仕事の流れを見るところから始めます。社内に使いこなす人を残すことを軸にするなら、アイトレ(AIアンバサダー育成)があります。

流れを見る
→
情報の決まり
→
道具を選ぶ

AI活用伴走サービス

  • 1つの仕事で小さく試す
  • AIに入れてよい情報の決まりを先につくる
  • Microsoft 365 や Zoho など、いまある道具で足りるかを確かめ、足りなければAIで貴社専用の仕組みを開発する
  • 定期的に打ち合わせ、直すところと次に手を付ける仕事を一緒に決める
現状把握
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実装
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定着
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振り返り

アイトレ(AIアンバサダー育成)

  • AI活用伴走サービスを、月次の打ち合わせと人の育成を軸にしたプログラムにまとめたもの
  • 月1回から4回の打ち合わせで、毎月、改善する業務を1つ決めて上の4ステップを回す
  • 最初の3ヶ月ほどで1名から3名のキーパーソンが業務改善の流れをつくり、3〜6ヶ月で社内へ展開する
  • 秘密保持契約(NDA)の締結とデータの取り扱いルールの整備を最初に行う

AI活用伴走サービスは、社内のだれも関わらず、すべて任せきりにしたいご依頼には向きません。名古屋・愛知と大阪は、うかがっての打ち合わせとオンラインの打ち合わせの両方で進めます。

アイトレのページでは、改善の例として、自社ブログから Instagram の投稿記事を作る作業が3時間から30分になった例や、スプレッドシートの管理業務を WEBアプリの生産管理システムに移した例(6ヶ月→2週間でリリース)を紹介しています。

同じページの社労士事務所の話では、Excelの計算ツールをAIでつくったWEBアプリに替えてメンテナンスの手間がほぼなくなり、業務改善を行える自信が社内に根付きました。改善の内容は業務によって変わります。

1つの仕事だけを試したい、というご相談も歓迎です

最初の1業務を、一緒に選びます

ご相談は無料です。いま時間が掛かっている仕事を1つお聞かせください。2営業日以内にご連絡し、最初の1業務に向くかどうかを一緒に確かめます。

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参考

まず、いまの状態を聞かせてください。

機器の名前や台数が分からなくても大丈夫です。「困っていること」と「どうなったらよいか」を、分かる範囲でお聞きします。必要のないものは、必要ないとお伝えします。

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