なりすましメール対策:中小企業のDMARC設定の順番とSPF・DKIMの違い

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なりすましメール対策:中小企業のDMARC設定の順番とSPF・DKIMの違い

この記事の結論

貴社の名前をかたるメールを取引先に届きにくくするには、DNS に SPF・DKIM・DMARC を設定します。DMARC は監視(none)から始め、本物のメールがすべて合格してから、隔離(quarantine)、拒否(reject)へ強めます。

  • 最初に、会社のドメインでメールを送っている仕組みを全部書き出します
  • 設定の有無は、DNS の公開情報とテストのメールで外から確かめられます
  • Gmail と Yahoo!メールは、認証の無いメールを迷惑メールにしたり、受け取らなかったりすることがあります

うちの名前で偽の請求書が届いた、と取引先から電話が来た

なりすましメールで困るのは、貴社の名前で取引先に届く偽の請求書です

IPA は、ビジネスメール詐欺の手口の1つ目に「取引先との請求書の偽装」を挙げています。攻撃者が取引先になりすまし、攻撃者の口座に差し替えた偽の請求書を送り付けて、振り込ませる手口です。

貴社がなりすまされる側になると、偽の請求書は貴社の名前で取引先に届きます。お金を失うのが取引先でも、問い合わせへの対応と取引先への説明は貴社が負います。

本物のメールと、貴社をかたるメールの届き方(イメージ)

本物

貴社のメールサーバー
本物の請求書
取引先

なりすまし

第三者のサーバー
振込先を差し替えた偽の請求書
取引先

受け取った人の画面どちらも差出人は keiri@貴社のドメイン と表示され、見た目では区別がつきません

見分ける手がかり取引先のメールサーバーは、差出人のドメインの DNS を見て、本物の送信元かを判定します。貴社の DNS に SPF・DKIM・DMARC が無ければ、手がかりがありません。

SPF・DKIM・DMARC は、確かめるものと役割が違います

3つとも、貴社のドメインの DNS(ドメインごとに公開する設定)に書き込みます。受け取る側のメールサーバーが、その中身を見て判定します。

SPF送ってよいサーバーの一覧

貴社のドメインで送ってよいサーバーを、DNS に一覧で書きます。受け取る側は、送ってきたサーバーが一覧にあるかを見ます。

DNS に置くもの(Microsoft 365 だけで送る例)v=spf1 include:spf.protection.outlook.com -all

DKIMメールに付ける電子署名

送るメールに電子署名を付け、確かめるための公開鍵を DNS に置きます。受け取る側は、書き換えの有無と、署名したドメインを確かめます。

DNS に置くものselector1._domainkey などの名前で、公開鍵の記録

DMARC差出人との一致と、不合格の扱い

SPF か DKIM の合格が、画面に出る差出人のドメインと一致するかを見ます。不合格のメールの扱いを宣言し、結果の報告を受け取れます。

DNS に置くもの_dmarc の名前で v=DMARC1; p=none; rua=mailto:報告の受け取り先

SPF が確かめるのは送信の途中で使う裏側のアドレスで、DKIM も署名したドメインが差出人と同じとは限りません。画面に出る差出人と一致するかを見るのが DMARC で、Microsoft も3つをそろえるよう案内しています。

DMARC で止まらないメール

DMARC が守るのは、貴社のドメインそのものを名乗るメールです。綴りの似た別のドメインや、乗っ取られた本物のアカウントからのメールは止まりません。IPA は、急な振込先の変更をメール以外で確かめることと、メールへの多要素認証を勧めています。

自社の設定は、DNS の公開情報とテストのメールで確かめます

東海3県の中小企業100社のドメインを、外から確認できる範囲(DNS の公開情報)で調べました(自社調べ・2026年8月)。DMARC が設定されていなかったのは59社、SPF が無かったのは9社でした(両方とも無かったのは7社)。

東海3県の中小企業100社のドメイン(自社調べ・2026年8月)
DMARC が設定されていなかった59社
SPF が無かった9社
両方とも無かった7社

棒の長さは、調べた100社に対する比です

総務省の情報通信白書(令和8年版)でも、JP ドメインでの導入は2025年12月時点で SPF が約89.6%、DMARC が約37.2%です。SPF はあっても DMARC の無いドメインが多いのは、当社の調べと同じです。

自社のアドレスから、個人の Gmail へ送って確かめる

自社のアドレスから個人の Gmail へ送る→Gmail で開く→送信者の名前の下の下矢印→送信元と署名元を見る

署名元に貴社のドメインが出ていれば、DKIM の署名が付いています。ほかのメールソフトでは、ヘッダーの Authentication-Results の行で、spf=pass・dkim=pass・dmarc=pass かを見ます。

Yahoo!メールでも、メールの認証情報の画面で、PASS かエラーかを確かめられます。

DNS の公開情報を、コマンドで見る

Windows のコマンドプロンプトで入力(example.co.jp を貴社のドメインに替える)

nslookup -type=TXT _dmarc.example.co.jpDMARC を見る

nslookup -type=TXT example.co.jpSPF を見る

v=DMARC1 の行が無いDMARC は未設定
p=none監視だけ。不合格のメールの扱いは変わらない
p=quarantine・p=reject不合格のメールを、迷惑メールにする・受け取らない
v=spf1 の行が無い、または2行あるSPF が無い、または無効(1つのドメインに1行だけ)

設定の前に、会社のドメインでメールを送っている仕組みを洗い出します

SPF の一覧に無いサーバーや、DKIM の署名を付けていないサービスから送ったメールは、DMARC で不合格になります。洗い出す前に拒否(reject)にすると、本物の請求書や通知が取引先に届かなくなります。

メールサーバー

Microsoft 365・Google Workspace・レンタルサーバーなど、社員がふだん送るメール。

複合機

スキャンしたファイルのメール送信や、トナー切れなどの通知。

会計・請求のソフト

請求書や見積書を、ソフトから直接メールで送る機能。

メルマガ・一斉配信

お知らせやメルマガを、外の配信サービスから送るもの。

WEBサイトのフォーム

問い合わせの自動返信や、予約・注文の確認のメール。

機器と業務システムの通知

NAS のバックアップの結果や、業務システムからのお知らせ。

1つずつ、差出人が貴社のドメインかと、社外へ送っているかを確かめます。社外へ送るものは、サービスの説明書で、SPF に足す値と DKIM の設定のしかたを確かめます。

洗い出した結果は、パソコンや機器の台帳と並べて持つと、担当が替わっても追えます。台帳の作り方は「中小企業のIT資産管理の始め方」に書きました。

SPF と DKIM でつまずきやすい3つ

  • SPF の行は、1つのドメインに1つだけです。サービスごとに行を足すと SPF 全体が無効になるので、1行の中に include で足します。
  • SPF がたどる参照(include など)は、合わせて10回を超えると不合格です。外の配信サービスは news.貴社のドメイン のようなサブドメインから送ると、参照の数と評判を本体と分けられます。
  • Microsoft 365 を貴社のドメインで使っていても、DKIM の署名は管理者が有効にするまで付きません。DNS に CNAME の記録を2つ作り、Microsoft Defender の管理画面で有効にします。

DMARC は none から始め、quarantine、reject の順に強めます

いきなり拒否にすると、洗い出しで漏れた本物のメールまで届かなくなります。Google も Microsoft も、まず none で結果を見て、段階的に強める進め方を案内しています。

DMARC の方針を強める順番(Google と Microsoft の案内から)
  1. 1p=none

    監視

    不合格のメールの扱いは変えず、報告だけを受け取ります。Google は、まず1週間、報告を毎日見るよう案内しています。

    v=DMARC1; p=none; rua=mailto:報告の受け取り先

  2. 2p=quarantine

    隔離

    不合格のメールは、迷惑メールのフォルダなどへ。pct で一部のメールから当てます。Microsoft の例は10・25・50・75・100の順です。

    v=DMARC1; p=quarantine; pct=10; rua=mailto:報告の受け取り先

  3. 3p=reject

    拒否

    不合格のメールは、受け取りを拒否されます。国がクレジットカード会社等に求めたのも、この拒否の運用です。

    v=DMARC1; p=reject; rua=mailto:報告の受け取り先

次の段に進む目安報告を見て、洗い出した本物の送信元がすべて合格している

全体の順番

  1. 洗い出す貴社のドメインでメールを送っている仕組みを、全部書き出す
  2. SPF をそろえる送ってよいサーバーとサービスを1行にまとめる
  3. DKIM を付けるGoogle は、DMARC の48時間以上前に済ませるよう案内しています
  4. DMARC を none で入れる報告の受け取り先を決めて、DNS に書く
  5. 報告を見て直す不合格になった本物の送信元を、SPF と DKIM に足す
  6. 強めるquarantine を一部のメールから当て、reject へ進める

報告の宛先と、使わないドメイン

報告は XML のファイルで、受け取った側のメールサービスから、およそ1日1回届きます。個人の受信箱でなく専用の受け取り先を用意し、集計するサービスで読むのが現実的です。

メールを送らないドメインにも設定します。Microsoft の案内は、SPF が v=spf1 -all、DMARC が v=DMARC1; p=reject; です。国の要請も、メールを送らないドメインを含めていました。

Gmail と Yahoo!メールは、認証の無いメールを拒否することがあります

取引先や個人のお客様に Gmail のアドレスの方がいれば、1通でも Google の要件がかかります。2026年10月時点の、それぞれの公式の案内は次のとおりです。

比べる点Gmail(Google)Yahoo!メール(LINEヤフー)
対象個人用の Gmail(末尾が @gmail.com・@googlemail.com)宛て。Google Workspace のアカウント宛ては対象外Yahoo!メール宛て
すべての送信者SPF か DKIM、正引きと逆引きの DNS レコード、TLS での送信、迷惑メール率0.3%未満など送信ドメイン認証を推奨。「SPF か DKIM、もしくは DMARC の認証を導入・判定クリアしていないメール」は、迷惑メールの判定や受信の拒否の場合がある
大量送信者1日に約5,000件以上送ると、SPF と DKIM の両方、DMARC(p=none でよい)、差出人のドメインの一致、ワンクリックの配信停止。一度当てはまると、その扱いが続く件数の基準は示していない。Gmail と同様の措置の予定は無い(2024年12月時点)
時期2024年2月から。2025年11月から、満たさないメールへの措置を強化2024年12月11日のお知らせ

メルマガを個人の Gmail に送る会社は、配信サービスの設定が大量送信者の要件を満たすかも確かめます。Google は、満たさないメールを迷惑メールに振り分けたり、拒否したりすることがあるとしています。

インフィニティにできること

インフィニティは名古屋・丸の内の会社で、サポート契約は280社強です。サービスの地図の①ドメイン・WEB・メールでは、ドメインを整理して自社の名義で持つところから、メールのクラウドへの移行、なりすましメールの対策までを受け持ちます。

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メールの置き場を移すなら、Microsoft 365 導入支援で、いまのメールアドレスのまま移します。導入の前にドメインとメールの設定を確かめ、切り替えは休日か夜間に行います。訪問は愛知・岐阜・三重と大阪、遠隔は全国です。

URL を送っていただければ、なりすましメールを止める設定を外から調べます

まず、外から見える設定を確かめます

ご相談は無料です。お問い合わせから、貴社のドメインと、メールを送っている仕組みで分かるものをお知らせください。何を送っているか分からない段階からでもかまいません。2営業日以内にご連絡します。

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参考

まず、いまの状態を聞かせてください。

機器の名前や台数が分からなくても大丈夫です。「困っていること」と「どうなったらよいか」を、分かる範囲でお聞きします。必要のないものは、必要ないとお伝えします。

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