
この記事の結論
SCS評価制度の★3は、自社で行う自己評価に、登録された専門家の確認と署名が付く段階です。申請の受付は2027年3月ごろ始まる予定です。求められたら、期限と範囲を確かめ、台帳と規程から準備を始めます。
- ★3は26の要求事項と81の評価基準でできていて、すべてを満たすことが求められる
- 特定のセキュリティ製品を入れることは、★3の条件ではない
- 有効期間は1年。毎年、専門家の確認を受けて更新する
取引先から★3を取ってほしいと言われた。何から始める?
SCS評価制度は、取引先に示す対策の段階を★で表す制度です
正式な名前は「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度」です。経済産業省と内閣官房国家サイバー統括室が2026年3月27日に制度構築方針を公表し、IPA(情報処理推進機構)が運営します。
想定している使い方は、2社の取引の契約の中で、発注する会社が受注する会社に必要な★を示し、対策を促して、実施の状況を確かめることです。業種や規模を問わず、大企業も対象になり得ます。
★3
広く知られた脆弱性を悪用する、一般的なサイバー攻撃に対処できる水準
評価のしかた専門家の確認付きの自己評価
要求事項26(評価基準は81)
有効期間1年
★4
最初の侵入を防ぐだけでなく、被害の拡大を防ぎ、取引先のデータやシステムの保護に役立つ水準
評価のしかた評価機関による第三者評価と技術検証
要求事項43
有効期間3年
★5
未知の攻撃も含めた、高度なサイバー攻撃への対応
評価のしかた・要求事項今後検討
上の段階は下の段階の事項を含みます。ただし、★3を先に取っていないと★4を取れない、という関係ではありません。取引先がどちらの★を求めているかで、準備の重さが変わります。
任意の制度で、特定の製品を入れることは条件ではありません
経済産業省は、この制度は任意の制度で、商取引に規制をかけるものではないと説明しています。★の取得を契約の中でどう扱うかは、契約の当事者どうしで合意して決めるものです。
★を理由にした売り込みに注意
経済産業省と内閣官房国家サイバー統括室は2026年4月27日、「評価を取得していないと商取引が規制される」といった営業による製品の勧誘が報告されているとして、注意を呼びかけました。
評価基準を満たすために、特定のセキュリティ対策製品の導入は必須ではありません。
求められたら、期限・★の段階・範囲・契約の期間を確かめます
IPA は、★3と★4の運用開始を2027年3月ごろの予定としています。経済産業省は、制度の開始は申請の受付の開始のことで、開始の時点で★を持っている会社はないと説明しています。
- 2026年3月27日制度構築方針と、要求事項・評価基準の公表経済産業省・内閣官房国家サイバー統括室
- 2026年10月ごろ要求事項・評価基準の解説書と、自己評価のガイドの公表(予定)
- 2027年1月ごろ確認を担う専門家の公表(予定)研修を行う事業者は2026年12月末ごろ
- 2027年3月ごろ★3・★4の運用開始(予定)申請の受付が始まる
取引先から依頼を受けたら、次の4つを確かめます。答えは、メールなど文字に残る形で受け取ります。

いつまでに
受付が始まる前の期限なら、★の登録ではなく、要求事項に沿った回答を求めている場合があります。経済産業省も、要求事項・評価基準を共通のチェックリストとして使う方法を挙げています。

どの★か
★3は専門家の確認付きの自己評価です。★4は評価機関による第三者評価で、実地の審査と、インターネットに公開している VPN 装置やルーターなどの脆弱性の検査まで入ります。

どこまでの範囲か
対象は、会社が決める適用範囲の IT 基盤です。サーバー、パソコンやスマホ、クラウドサービス、ルーターなどのネットワーク機器が入ります。本社だけか、工場や営業所も入るかを確かめます。

契約の期間
★3の有効期間は1年です。取引が1年を超えるなら、契約が終わるまで★を保ち続けることを求める運用が考えられる、と経済産業省は例を挙げています。更新の時期も合わせて確かめます。
工場の生産設備を動かす制御のシステムは、一般に IT 基盤に当たらないとして、この制度の直接の対象から外れています。製造業の会社は、範囲を決めるときにここを分けて考えます。
社内では、取引先との窓口を1人に決めます。最後に自己適合宣言をするのは経営層なので、準備の担当と経営層の役割も、この段階で分けておきます。
★3で見られるのは、7つの分類に分かれた26の要求事項です
IPA が公開している「★3・★4 要求事項・評価基準」では、★3の要求事項は26、評価基準は81あり、7つの大分類に分かれています。登録には、評価基準のすべてを満たすことが求められます。
棒の長さは、評価基準の数(81のうち)
4番目の「攻撃等の防御」だけで、評価基準81のうち48を占めます。中身は、新しい機器を買う話よりも、日々の運用の決まりと、その記録です。
決めて、伝えて、年1回点検する形の基準が多い
たとえばセキュリティ対応方針は、定めること、社員がいつでも最新の方針を見られること、改正のときに周知することの3つで見られます。守秘義務も、ルールを定めることと、入社のときに説明することが分かれています。
体制や管理のルールには、年1回以上の点検を求める基準もあります。作った日のままの書類では足りません。
多要素認証とアカウントの管理も入っています
- 重要な機密情報を扱うクラウドサービスでは、利用者も管理者も常に多要素認証を使う
- 退職した人や、一定の期間使われていないユーザ ID と管理者 ID は、速やかに削除するか無効にする
- 誰が管理者 ID を持っているかを把握する仕組みを整える
- 重大な脆弱性を直す更新は、公開から14日以内に当てる(会社が支給するパソコンの OS・ブラウザ・Office など)
Microsoft 365 での多要素認証とセキュリティの既定値群の設定は、解説動画の第17回で見られます。
社内で準備するのは、台帳・ネットワーク図・アカウント・バックアップ・規程です
自己評価の前に、評価基準に答えるための材料をそろえます。どれも、上の図の分類と対応しています。

機器とソフトの台帳
パソコンとサーバーの製造元・OS・台数を把握する仕組みと、導入や更新の管理ルールが要ります。作り方はIT資産管理の記事で説明しています。

ネットワーク図
ネットワークごとの所在地と用途に加えて、ネットワーク機器の製造元・モデル・保守の事業者まで把握します。

アカウントと権限の一覧
ユーザ ID と管理者 ID の付与・変更・削除を申請と承認で行い、誰が管理者 ID を持つかを一覧にします。共有の ID は、使った人が分かる形にします。

バックアップと戻す手順
対象・頻度・保管期間を決めて取得し、重要な機密情報は離れた場所にも残します。対象ごとに、データを戻す手順書を作ります。

規程と記録
セキュリティ対応方針、守秘義務、パスワードの決まり、機密情報の扱い、事故のときの対応手順。入社時と年1回の教育と訓練の記録も残します。

取引先と外部サービス
取引先が管理していて自社がつながるシステムと、クラウドなどの外部サービスを一覧にします。機密情報の扱いは、業務の前に取り決めます。
台帳と図は、一度作って終わりではありません。年1回以上の点検を求める基準があるので、点検した日と見た人を残せる形にします。
IT の保守を外の会社に任せているなら、更新の適用やバックアップの確認を誰が受け持つかを、書面で確かめます。確かめ方はITサポートの選び方の記事にまとめています。
専門家の確認を受けて申請し、1年ごとに更新します
★3の登録までの順番です。2番目から後は、IPA の基本規程(2026年8月28日施行)が定める手続きです。
- 範囲を決めて準備する適用範囲を決め、台帳・規程・記録をそろえる
- 自己評価81の評価基準ごとに、満たしているかを自社で評価する。社内外の専門家の支援も受けられる
- 専門家の確認★3確認責任者が自己評価の妥当性を確かめ、必要なら修正を含めて助言し、署名する
- 自己適合宣言すべての基準に適合していることを、経営層が会社の責任で宣言する
- 申請と登録IPA に申請する。不備がなければ登録され、公表される
- 1年ごとに更新満了日の前に、専門家の確認と助言を受けた自己評価の更新版を出す
確認する専門家は、資格と研修と IPA への登録が要ります
★3の確認を担うのは、IPA に登録した SCS セキュリティ専門家です。情報処理安全確保支援士・公認情報セキュリティ監査人・CISSP・CISA・CISM・ISO27001主任審査員のいずれかの資格を持ち、研修を受けたうえで登録します。
確認する人は社内でも社外でもかまいません。ただし経済産業省は、社内の情報システム担当者であればよい、というものではないと説明しています。
外部の専門家に頼む費用は、その専門家との契約で決まります。このほかに、IPA への申請料と登録料がかかります。
対策を決めて実装するのは自社の側
専門家は自己評価を確かめて助言します。ただし IPA の研修実施基準は、確認の結果を説明して助言する場面について、具体的な対策の設計や実装を代わりに行ったり指示したりしてはならない、と書いています。
準備は、自社と、自社が頼む IT の会社で進めます。
1年ごとの更新で、記録を切らさない
★3の有効期間は、登録完了の通知の日から1年です。更新では、登録の内容が変わっていなくても、満了日の前に専門家の確認と助言を受けて、自己評価の更新版を IPA に出します。
満了日の前に出していれば、審査が終わるまで登録は有効なものとして扱われます。年1回の点検の記録が、そのまま翌年の更新の材料になります。
インフィニティにできること
インフィニティは名古屋・丸の内の会社で、サポート契約は280社強です。自社で開発したIT見えるBOXは、社内のネットワークに小さな箱を1台つなぎ、機器台帳・ネットワーク図・IT健康診断書をつくります。
シンプル版に足すオプションとして、SCS対応版があります。取引先から、SCS評価制度の★3にもとづく自己評価を求められた会社のためのものです。




SCS対応版で、社内に持ち続けるもの
- 教育・機密情報・ID の申請・事故の記録と、取引先の台帳
- 社外側の確認(メール・ホームページ・ドメインの期限)
- 台帳に無いクラウドや AI の利用の発見
- Microsoft 365・Google Workspace の読み取り
シンプル版の機器台帳・ネットワーク図・バックアップ台帳と年1回の点検・退職のチェックリストが、上で挙げた準備の土台になります。
★3は、IT見えるBOX だけでは取れません。評価は、有資格の専門家による確認を含む手続きで決まります。SCS対応版は、自己評価の下書きと、決めたルールと記録と、専門家に渡す資料を、社内で切らさずに持つための道具です。
導入した後も伴走し、診断書をもとに、直す順番と予算を一緒に決めます。訪問は愛知・岐阜・三重と大阪、遠隔は全国です。
まず30分、無料でお話を伺います。オンラインでもかまいません

